2016年12月
クリスマスの心
 七里教会牧師 小林則義

 マタイによる福音書2章1~11節は東方の博士たちがベツレヘムのイエス様のもとを訪れ、イエス様を礼拝し、また贈り物をささげる物語です。東方とはペルシャのことです。今のイラン、イラクのあたりです。ペルシャから遠路はるばるやって来てベツレヘムを訪れるという物語です。3人の博士というのは、贈り物が黄金・乳香・もつ薬の3つだったことから3人の博士と言われています。

 ところで「4人目の博士」(もう一人の博士)という物語があります。これは聖書に書かれている物語ではありません。伝説です。「4人目の博士」(もう一人の博士)のあらすじはこうです。
 ペルシャの4人の博士たちは、救い主の誕生のしるしである星を発見しました。4人の博士たちは、救い主を一目見ようとして、大切な贈り物を用意して旅立ちました。ところが、そのうちの一人が、待ち合わせの場所に行く途中、大けがをし、死にそうな人と出会います。助けているうち時間がかかり、遅れてしまいました。待ち合わせ場所には「先に行く」という手紙だけが残されていました。
 彼はその後、気を取り直して、救い主を求める旅を続けます。でも行く先々で、貧しい人、病気の人、強盗に遭った人を助けてあげます。彼は持って来た贈り物の宝を一つまた一つと使っていきます。次々と困っている人を助けてあげ、とうとう、持って来た宝物もあと一つとなってしまいました。そして、年月も33年が過ぎてしまいました。
 疲れ切った彼は、ある日、救い主が十字架に付けられるという噂を聞きます。彼は疲れた体を引きずってエルサレムにあるゴルゴダの丘に向かいます。しかし、その途中、何と奴隷として売られる娘に出会います。彼は最後の宝でその娘を救い、とうとう精も根も尽き果ててしまいました。やがて人生の終わりを迎えます。
 彼が救い主に出会うことなく人生を終わることを悲しんでいると、天からはっきりと声が聞こえてきました。
 「なぜ悲しむのか。あなたは私が病気の時、私を見舞いに来てくれた。あなたは私が強盗に遭った時、私を助けてくれた。お腹が空いている時、食べ物を食べさせてくれた。ぼろを着ていた時、服を着せてくれたではないか。」
 彼はこのことばを聞いて、今まで自分が行ってきた全てを、救い主が受け取って下さったことを知りました。そして満足して天国に旅立っていきました。
 「4人目の博士」(もう一人の博士)のように、貧しい人、病気の人、困っている人を助けるのが、クリスマスの心です。そしてクリスマスの心はイエス様の心です。イエス様はこの世の貧しい人、病気の人、困っている人のところへ来られました。
 クリスマスの季節になると、私たちはサンタクロースを思い出します。サンタクロースの本当の名前はニコラスと言います。ニコラスはイエス様の愛を行い、貧しい人、病気の人、困っている人を助けて聖者ニコラスと呼ばれました。これがサンタクロースのもとになった人です。
 今私たちに求められていることは、クリスマスの心、イエス様の心を持ち、一人ひとりがサンタクロースになることです。イエス様は言われました。
 「受けるよりは与える方が幸いである」(使徒言行録20章35節)



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