Jホーム訪問記
 小林知子

  ホームではちょうどクリスマス祝会の真っ最中。K家の末妹であるM子さん、TさんとSさんの姪にあたる方も来られていて、おふたりとともに私たちの訪問をとても喜んでくださいました。
 すてきなバイオリン演奏を聴いたあと、入居者の方たちのケーキタイム。TさんもSさんもともに九十を過ぎ車いすの生活ですが、頭の方は大変しっかりされていて、「皆さんもどうぞ」「皆さんも食べてください」と私たちを気遣ってくださいました。感謝なことに、私たちもちゃんと一皿ずつケーキをいただけたのです!最後にホームのスタッフの方から入居者の方に配られたクリスマスプレゼントは、それぞれの写真の入ったすてきな装幀のアルバム。Tさん、Sさんのアルバムも幸せそうな笑顔の写真が収められていました。
 Tさんはお疲れが出て、早めに部屋に戻られたのですが、Sさんと私たち六人はしばし交わりの時をもち、ともに「きよしこの夜」を賛美しました。私は賛美歌を見ながら歌っていましたが、Sさんは何も見ずにきれいな声で言葉をかみしめるように歌われ、その姿がとても印象的でした。最後に牧師がおふたりの健康を祈り、ひとりひとり握手をして、お別れとなりました。

 今回の訪問で何より心に残ったのは、Kさんご一族の絆の深さです。K家は九人きょうだいで、Yさんのお母様のようにすでに天に還られた方も何人かいらっしゃるとのこと。また、クリスチャンの方もいればそうでない方もいるようです。それぞれバラバラな人生を歩んでいたとしても何ら不思議ではない状況。
けれど、Tさん、Sさんのところへは、妹のM子さんが毎日のように出向き、甥のYさんや姪御さんたちも定期的に訪れています。それは当然、一朝一夕にできた関係ではないでしょう。きょうだい、親子、またお身内同士、互いに声をかけあい、いたわりあって何年もに渡って築いてきた絆があればこそ、のことと思います。そんな絆に囲まれて晩年を過ごすことのできるおふたりを、うらやましく思った聖日の午後でした。


2017年1月


ウィンドウを閉じる